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近年、電子書籍やAmazonなどの大手通販の拡大により出版業界を取り巻く環境は大きく変容し、書籍の発行部数・販売部数の減少が続き、それに伴い書店数や出版社数も減少の一途をたどっています。

12日、自民党の「全国の書店経営者を支える議員連盟」が会合を開催し、書店経営者から意見を集めました。

その中で、こんな意見が飛び出したといいます。

「インターネット書店課税を創設してほしい。」

これを見たときの感想としては、頭が沸いてるのかと思いました。

「この暑さで脳みそが沸騰して気が確かでなくなっているのかな?」と思った、ということです。

この要望に対してはネット上でも批判が殺到していて、ホリエモンこと堀江貴文氏もこうツイートしています。

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なぜ批判が殺到しているのか

幼稚園児くらいのキッズでもわかる例え話をします。

ある町に、昔から営業している古いラーメン屋さんがありました。
そのラーメン屋さんは値段は高くて品揃えも悪いくせに注文してから出てくるまですごく遅いし、味も大して美味しくありません。
しかし、その町には他にラーメン屋さんはなかったため、ラーメンを食べたい人はみんなそのお店に行っていました。
ところがある日、その古いラーメン屋さんの隣に新しいラーメン屋さんができました。
新しいラーメン屋さんは値段も安くメニューもたくさんあり、注文してからすぐに美味しいラーメンを出してくれるため、その町の人たちはみんな新しいラーメン屋さんに食べに行くようになりました。
新しいラーメン屋にお客さんを取られてしまい、とっても困った古いラーメン屋さんの店長は、その町の町長さんにこう言いました。
「あの新しいラーメン屋の町内会費だけめちゃくちゃ高くしてくれ。」

もうおわかりだと思います。そういうことです。

古いラーメン屋さん→実店舗書店、新しいラーメン屋さん→ネット書店、町長への要請→ネット書店課税です。

まさにジャイアンです。傲慢なジャイアニズム。いや、ジャイアンの場合他人に頼ることなく自分の力でねじ伏せるので、理性をかなぐり捨てたスネ夫とでも表現した方が良いでしょうか。

経営努力によってサービスの質を改善させるのではなく、他人の足を引っ張って道連れにしようとする怠惰な姿勢に対し、一般ユーザーだけでなく、「街の本屋」を愛する本好きなユーザーからも批判の声が噴出しています。

幼稚園児くらいのキッズでも先生にこんな傲慢な要望はしないと思います。

 

ネット書店課税が実現したら

もしネット書店課税が実現してしまったら、間違いなく創作活動や読書文化は衰退すると思います。

本屋は高いし品揃えも悪いし取り置きも遅くて不便ですが、経営努力をしなくても『ネット書店課税』のおかげでライバルのネット書店に負けなくて済むようになります。

ネット書店は、せっかく安価で早く効率的にたくさんの本を販売できるシステムを持っているのに『ネット書店課税』のせいで、高い金額で販売せざるを得なくなります。

こうなってしまったら、本を買いたくてもどこも値段が高いので、映画やゲームなどの他のコンテンツに負けて誰も本を読まなくなってしまうでしょう。

 

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書店経営者の言い分

『ネット書店課税』の創設を要望した書店経営者の言い分を要約すると、ポイントは次のようになります。

① ネット書店の普及により実店舗経営が圧迫されている
② 我々は固定資産税を払っているため、区別を図ってほしい
③ ネットではポイント還元による実質的な値下げもあり、再販売価格を維持するため

これらの点について、それぞれ私見を述べていきたいと思います。

① ネット書店の普及により実店舗経営が圧迫されている

すごく当たり前のことを言っているだけで何の論拠にもなっていないと思います。

ネット書店より質の高いサービスを提供できないのであれば、経営が圧迫されるのは当たり前のことです。

「外来種の流入により日本固有の生態系が破壊されている!」という主張と同じような感覚で言っているのでしょうか?

そのような意見は議連ではなく環境保護団体に言うべきだと思います。一生懸命頼めば、もしかしたらAmazonを危険外来種に指定してもらえるかもしれません。

② 我々は固定資産税を払っているため、区別を図ってほしい

ネット書店は在庫の配送・管理のために実店舗書店より多額の倉庫の地代家賃や運送料を支払っています。これらの費用には料金に転嫁された固定資産税や自動車税が含まれているため、ネット書店だって間接的に償却資産税を払っていると考えることもできます。

それに固定資産税の納付額は課税所得の計算上損金の額に算入されることから、その分実店舗書店の法人税等の税負担はネット書店よりも軽くなっているため、税負担の公平性を論拠に『ネット書店課税』の創設を求めるのはお門違いもいいとこです。

③ ネットではポイント還元による実質的な値下げもあり、再販売価格を維持するため

書店だってポイントカードを採用しているのにネット書店のポイント還元はダメとか意味不明。

ちなみに公正取引委員会は平成13年に公表した『著作物再販売制度の取扱いについて』において、書籍のポイント値引きサービスについて「消費者利益に資するもの」として容認する見解を出しています。

そもそも再販価格維持制度そのものが既得権益を守るだけの時代遅れで不合理なシステムだと思います。

 

街の本屋を残すためには

さて、ここまで散々批判をしてきましたが、僕は別に街の本屋が消えてほしいと思っているわけではありません

自分でサービスの質を改善しようともせず足を引っ張ってネット書店を排除しようという愚策に呆れているだけで、僕は本屋さんは大好きです。

たくさんの本に囲まれるワクワク感や、新書の温かみのある手触りや、買ったばかりの本を近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら読むひとときは狂おしいほど好きなので、本屋さんがなくなってしまうのはとても寂しいことだとだと思います。

そうならないためにも、街の本屋は、本屋にしかできないような、ネット書店に勝るサービスを提供できるように努力すべきです。

ネット書店に利便性で勝つというのは難しいと思いますが、実際に店舗のある本屋にしかできないことはいっぱいあると思います。

例えば、店員さんに気軽にオススメの本を聞けるようなサービスを作ったり、作家の握手会や読者交流会などのイベントを積極的に開催したり、デザイナーに依頼してものすごくオシャレでかっこいい内装にしたり、コーヒーなどを飲みながら本を読めるように喫茶店と統合したりなどなど、本屋にしかできない強みはもっともっといっぱいあると思います。

『ネット書店課税』のような他人の足を引っ張って地獄に道連れにするような愚策ではなく、本屋にしかできないようなことを見つけて、ネット書店も本屋も共存できる施策がもっともっと増えてほしいと思います。

 


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