geralt / Pixabay

前回までの記事で、ファンや消費者の購買行動モデルのうち「AIDMA(アイドマ)の法則」「AISAS(アイサス)の法則」についてご紹介しました。

 

今回は、TwitterやFacebook、YouTubeなどのソーシャルメディアを通じた購買行動モデルとして提唱されている「SIPS(シップス)の法則」についてご紹介したいと思います。

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SIPSの法則とは

SIPS(シップス)の法則とは、2011年に電通の佐藤尚之氏をリーダーとした社内ユニットが提唱した、ソーシャルメディアに関与が深い生活者消費行動モデルです。

このモデルは、以前紹介した「AIDMAの法則」や「AISASの法則」にとって代わるものではなく、消費者の情報の取得経路や情報伝達のあり方の変化に対応した、より現状を反映した考え方です。

次の4段階のプロセスの頭文字を取った略語になります。

Sympathize(共感)
Identify(確認)
Participate(参加)
Share(共有)

上記4段階のプロセスについて、それぞれ詳しく説明していきたいと思います。

 

Sympathize(共感)

Sympathize(共感)は、TwitterなどのSNSでフォローしている友人や有名人が発信した情報に共感するプロセスです。

ここで重要なのは、情報の発信者が信頼できる人であるほど、共感が得られやすいということです。

例えば、新しいゲームを買おうと思った場合、発売元の会社が「待望の新作!いよいよ発売!」と広告宣伝をしているのを見たときよりも、仲の良い信頼できる友人が「あの新しいゲームすげえ面白かった!」と聞いたときの方が共感できるかと思います。

同様に、好きな有名人や信頼できる専門家の発信する情報も共感が得られやすくなるため、いかに消費者に共感されるアプローチができるかが鍵となります。

 

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Identify(確認)

Identify(確認)は、共感した情報や商品が本当に自分の価値観に合っているか、本当に自分にとって有益なものかを調べるプロセスです。

今やスマホ片手にすぐに何でも調べられる時代です。膨大な情報に晒されている消費者は慎重になっているため、「共感」したからといってすぐに次の「参加」という行動に移るわけではありません。

もしここで、「共感」した気持ちが不正や嘘で裏切られた場合には、一度は「良いな」と思っただけにその反動は大きく、非常に強い不信感を抱かれることになり大きなマイナスイメージがついてしまいます。

この点について実例を挙げると、最近、Twitterで何万回もリツイートされている面白ツイートや感動ツイートのコメント欄を見たら、あるまとめサイト系のアフィリエイトブログのURLが貼ってあるのをよく見かけます。実はこれ、パクツイ(他人がツイートした内容をあたかも自分が考えたようにツイートすること)で人目を集めることによって自分のウェブサイトにアクセスを誘導するという宣伝方法なのです。

このやり方は一度ツイートの内容に「共感」した人の気持ちを裏切るような宣伝方法のため、反動からくる不信感はとても大きく、完全にマイナスイメージが定着してしまいました。

なお、そのブログのサイト名はここでは明かすつもりはありませんが、どうしても興味のある方はGoogleで「neta-ru.com パクツイ」で検索してみてください。撲滅キャンペーンまで打ち出されて炎上しています。

 

Participate(参加)

Participate(参加)は、単に商品を購入するだけでなく、ソーシャルメディアで「いいね!」ボタンを押したりリツイートなどで賛同するプロセスです。

ソーシャルメディアが普及した現代では、買ってもらうことだけがゴールではありません

例えば、アフィリエイトブログを運営しているブロガーにとっては記事を読んでもらうことが収益につながりますし、クリエイターが制作した作品をネット上で見てもらうことも、それがソーシャルメディアで共有された場合、友人・知人の興味喚起につながり他の見込み客に対する訴求効果があります。

すぐに収益に結びつかないような行動でも、友人・知人のつながりへ広めてもらうために非常に重要な役割を果たしているといえます。

作品・商品・コンテンツを売ることだけを目標にするのは古い考え方です。単に買ってもらうだけでなく、広い意味でブランドに貢献してくれる「参加」の重要性を理解することが、ソーシャルメディア時代に成功するための鍵になるでしょう。

 

Share(共有)

Share(共有)は、商品を購入したことや、作品を見た感想をSNSやブログで拡散するプロセスになります。

ソーシャルメディアでは、単に情報の内容そのものではなく、「あなた自身」が発信・拡散した情報であるという点に対して「共感」が集まるという特徴があります。

例えば、新しく公開された映画の宣伝をテレビCMで見たときは何とも感じなかったけど、SNSで気の合う仲の良い友人が「あの映画すごく面白かった」とつぶやいているのを見て「へー、ちょっと見てみたいな」と思ったこともあるかと思います。これは、情報の内容そのものでなく、あなたが興味がある・信頼している友人が発信した情報であるという点に「共感」したということになります。

「AISASの法則」と同様に、「SIPSの法則」でも「共有」された情報が新たな「共感」を生み、SIPS→SIPS→SIPS→SIPS→・・・という循環が起きるようになります。

こうすることで、その投稿を見た人がその作品・商品の存在を認知し、興味を持って購入し再び拡散されるという循環が起きることになります。

 

まとめ

ソーシャルメディアが普及し、いつでもどこでも誰とでもすぐにコミュニケーションが取れるようになった現代では、「つながり」や「共感」が強く求められるようになりました

ソーシャルメディア上で強固な「つながり」を持つネットユーザーに対していかに「共感」を得られるコンテンツを発信していけるかが、これからの時代の創作活動や事業活動で成功するための鍵となります。

「共感」を得てから「共有」に至るサイクルを増幅させ「バズる」ためには、「SIPSの法則」の行動モデルを常に意識することが大切になります。

 


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