所得税は、個人が得た「所得」に対して課せられる税金です。
実はこの「所得」は10種類もあるのをご存知でしょうか?
所得税法では、「所得」は利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に区分されていて、どれに当てはまるかによって所得税額の計算方法に違いが出てきます。
クリエイターの方が特に意識して違いを抑えておくべき所得は事業所得、給与所得、雑所得の3つです。
今回は、これら10種類の所得について、それぞれどういうものなのかをご紹介します。
利子所得
通帳を見たらたまに2〜3円くらいのうまい棒すら買えないハナクソ程度の預金利息が入金されていて、全く嬉しくないどころか逆にあまりの金利の低さにイラっとしたことはありませんか?
このような預貯金や公社債などの利子や、公社債投資信託の分配金などは「利子所得」に該当します。
こんな雀の涙ほどの金額もいちいち確定申告しないといけないの?と思われるかもしれませんが、利子所得についてはその支払時に20%(※)の源泉徴収が行われ納税が完結するため、通常は確定申告は不要となります。
これを源泉分離課税といいます。例えば、もし預貯金の利息として5円ももらえることとなった場合、支払時に所得税等が1円差し引かれて4円が入金されるため、すでに納税は完結していることから確定申告の必要はありません。
(※)所得税15%、住民税5%。所得税にさらに復興特別所得税2.1%が加算されます。
配当所得
株式の配当金や株式投資信託の分配金などは「配当所得」に該当します。
配当所得も利子所得と同様に、支払時に20%(※)の源泉徴収が行われます。
実は配当所得がある場合の確定申告は、所得税の計算の中でもかなりややこしく複雑なので、ガチで株式投資をやっている人でなければあまり気にしなくてOKです。
一応書いておくと、配当所得については確定申告では総合課税か申告分離課税の選択ができ、上場株式等に係る配当金については確定申告不要制度もあります。
興味がある人は各自おググりください。
不動産所得
土地や建物を賃貸して得た収入は「不動産所得」に該当します。
貸間やアパートなどは部屋を10室以上を貸し付けている場合、一軒家などの独立家屋は5棟以上貸し付けている場合には、賃貸料収入を不動産所得として確定申告する必要があります。
事業所得
商売や製造業、サービス業などの事業活動から生じた所得は「事業所得」に該当します。
実はこの事業所得は、後述する雑所得との区分が曖昧で、どちらの所得として申告すればいいのか判断が非常に難しいところになります。
これは副業やフリーランスで活動しているクリエイターにとって悩ましい問題のひとつだと思いますが、大雑把なイメージとして、ある程度の規模の収入を継続的に得ている場合は事業所得となり、趣味や片手間でお小遣い稼ぎ程度にやっているものは雑所得になると思っておきましょう。
事業所得として申告した場合、給与所得等との損益通算や青色申告特別控除、青色事業専従者給与、損失の繰越控除といった制度が利用できるため、雑所得として申告するよりも事業所得として申告する方が税額計算上有利になる(納税額が安くなる)ことが多くなります。
ただし、雑所得として申告した場合には家内労働者控除という制度を受けられるため、どちらが有利になるかはケースバイケースです。(詳しくはまた後日記事にしたいと思います。)
給与所得
サラリーマンの給料・ボーナスやパート・アルバイト収入は「給与所得」に該当します。
給与所得では、通常、毎月の給料の支払時に一定額が源泉徴収され、会社が勝手に税額を計算して会社員の代わりに税務署に払ってくれます。
年に一度の年末調整という制度により納付税額の過不足が調整され、毎月の源泉徴収で多く取りすぎた分は会社が返してもらうことになり課税は完了するため、会社員やアルバイトは確定申告は不要です。
ただし、副業収入が20万円以上ある場合や年収が2,000万円以上ある場合、他の職場と掛け持ちしている場合、中途退職して年末調整を受けていない場合などの一定の場合には、会社員やアルバイトでも確定申告をする必要があるため注意しましょう。
退職所得
会社を退職した時に受け取る退職金は「退職所得」に該当します。
退職所得についても、通常、会社が税金を計算して退職金から差し引かれるため、確定申告は不要です。
ただし、会社への「退職所得の受給に関する届出書」の提出など一定の手続きが必要になるので注意しましょう。
退職願を提出するときは上のフリー画像の岡崎体育そっくりなデブと同じような表情で渡すようにしましょう。
山林所得
山林を伐採して譲渡して得た収入や立木のまま譲渡して得た収入は「山林所得」に該当します。
ただし、山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は事業所得か雑所得に該当します。
譲渡所得
土地・建物・車両・株式などの資産を譲渡して得た収入は「譲渡所得」に該当します。
なお、生活用動産の譲渡による所得(使わなくなった家具や洋服などをメルカリで売った場合の収入など)は非課税所得とされるため、確定申告は不要です。
ただし、せどりや転売で継続的に譲渡を行なっている場合の収入は事業所得か雑所得に該当することとなり確定申告が必要となります。
一時所得
宝くじの当選金や競馬の返戻金、満期保険金などは「一時所得」に該当します。
イメージとしては、継続性がなく、モノやサービスの対価ではない、たまたま入ってきたラッキーな収入が一時所得となります。
一時所得には50万円の特別控除があるため、競馬などで勝った金額があっても1年で50万円以下の場合は確定申告は不要です。
雑所得
上記の9種類の所得のいずれにも該当しない所得は「雑所得」に該当することとなります。
雑所得に該当する所得の範囲は非常に広く原稿料、校正料、印税、講演料、公的年金、FXや先物取引の収入など様々なものが雑所得に区分されます。
事業所得のところでも書いた通り、事業所得と雑所得の区別は曖昧で、ある程度の規模の収入を継続的に得ている場合は事業所得となり、趣味や片手間でお小遣い稼ぎ程度にやっているものは雑所得になります。