2017年7月20日、ちょうど1年前の今日、世界的なロックバンド「Linkin Park」のボーカルChester Bennington(チェスター・ベニントン)が自ら命を絶った。
信じられないニュースだった。心臓が飛び出るかと思ったくらいショックだった。
嘘だろ?つい最近、新しいアルバムをリリースしたばかりなのに、どうして…?
直接面識のある人以外の訃報でここまで悲しい気持ちになったのは生まれて初めてのことだった。
僕の青春時代のど真ん中にいたLinkin Parkが、これからも新しい音を届けてくれると思っていたLinkin Parkが、何の前触れもなしに突如としていなくなってしまったのだ。
この現実を受け入れられず、ただただショックでしばらく何も考えることができなかった。
心にぽっかりと大きな穴が空いてしまったようだった。
今回は、Chesterの1周忌の追悼の意を込めて、Linkin Parkが世に送り出してきた数々の名曲のうち、特に僕の胸に突き刺さったものをご紹介させていただきたいと思います。
目次
One Step Closer
出典:One Step Closer(Official Video)-Linkin Park
1stアルバム『Hybrid Theory』より。
彗星の如くラウドロックシーンに現れ、ラップとロックを見事に融合させたミクスチャーバンドのパイオニアとしてその才能を世界に知らしめることとなったデビューアルバムのシングルカットソング。
耳に残る印象的なギターリフが世界観をよく体現している。
Faint
出典:Faint(Official Video)-Linkin Park
2ndアルバム『Meteora』より。
ライブでもほぼ毎回演奏されている、イントロからいきなり絶頂に達し爆発的に盛り上がる一曲。
常人なら喉がはち切れそうなChesterのシャウトを初めて聞いたときは震えるほどかっこよかった。
中高生時代、カラオケでこの曲を歌った後はいつも喉が枯れてガラガラ声になっていた。
Numb
出典:Numb(Official Video)-Linkin Park
2ndアルバム『Meteora』より。
伝説の名曲である。
中学生のとき、この曲を聴いて僕はリンキン・パークを好きになった。
曲名のとおり、かっこよさに痺れそうになりながら毎日聴いていた。
Leave Out All The Rest
出典:Leave Out All The Rest(Official Video)-Linkin Park
3rdアルバム『Minutes to Midnight』より。
3rdアルバムから少し方向性が代わり、シーンの潮流に合わせてエモい曲が増えてきた。
この曲はしんみり聴かせるバラード曲ではあるものの、Chesterの力強いパワフルな歌声が良い緊張感を与えている。
Waiting For The End
出典:Waiting For The End(Official Video)-Linkin Park
4thアルバム『A Thousand Suns』より。
静かなイントロから始まりMike Shinodaの淡々としたラップとChesterの歌声が徐々に熱くなっていくドラマチックな展開の曲。
「終焉を待ちながら」という意味の曲で、この曲の一番最後にChesterの体がふっと消えてしまうシーンは、今となってはChesterが終焉を迎えてしまった(亡くなってしまった)という事実を突きつけられているようで、見るたびに泣きそうになる。
この曲のサビのフレーズは下記のようになっている。
All I want to do
is trade this life for something new
holiding on to what I haven't got
(CD『A Thousand Suns』より引用 アーティスト:Linkin Park)
意訳をすると「この命に代えてでも新しい何かを掴みたい」と叫んでいて、芸術に対するあくなき探究心や向上心が窺える。
一方で、Chester亡き今となっては、若くして命を落としてしまったが、歌詞の内容どおり、それと引き合えに他のどのアーティストもなし得なかった数々の新しい取り組みを成功させたという生前の功績に対するリスペクトの気持ちも同時に湧いてくる。
Lost In The Echo
出典:Lost In The Echo(Official Video)-Linkin Park
5thアルバム『Living Things』より。
今作からさらに音楽性に変化が見られ、エレクトロの要素が前面に押し出されている。
僕が2013年のサマーソニックの来日公演で初めてLinkin Parkのライブを見たのはこのアルバムが出た後で、色んな電子機器を取り入れた近未来的なライブパフォーマンスは圧巻だった。
Guilty All The Same
出典:Guilty All The Same(OfficialLyric Video)-Linkin Park(feat.Rakim)
6thアルバム『The Hunting Party』より。
6thでもまたまた音楽性に変化が見られ、再びラウドロックシーンへの回顧が顕著になった。
しかし、1st『Hybrid Theory』や2nd『Meteora』のようなヘビーでありながらキャッチーなメロディーラインを残した初期の曲調と異なり、無骨なハードロックテイストを現代風に解釈した作品と言える。
One More Light
出典:One More Light(Official Video)-Linkin Park
7thアルバム『One More Light』より。
遺作となってしまった7thアルバムは、もはやHip Hopじゃないかという曲や、ロックっぽさがほとんどないような曲も多く、今まで中でも特に大きく音楽性を変化させたかなり挑戦的な作品だった。
この曲は誰かが亡くなったときに捧げる曲で、5月にアメリカのTV番組”Jimmy Kimmel Live!”にLinkinParkが出演した際に、Chesterの親友で、Chester同様自ら命を絶ってしまったクリス・コーネルに捧げて演奏された曲でもある。
サビのコーラスは次のようなフレーズとなっている。
If they say
Who cares if one more light goes out
In the sky of a million stars
It flickers, flickers
Who cares when someone’s time runs out
If a moment is all we are
Or quicker, quicker
Who cares if one more light goes out
Well I do
(CD『One More Light』より引用 アーティスト:Linkin Park)
意訳をすると、次のような意味になる。
誰かの人生に終わりが来たところで、誰が気にするだろうか?
いや、俺は気にするよ
この曲の"light"は人間の儚い命を象徴している。何十億人もの人が暮らすこの世界のたった一人の命が尽きたって、ほとんど誰も気にしないかもしれないけど、それでもあなたのことを悲しんでくれる人は必ずいるんだよ、というChesterの優しく人と向き合う心の内が現れた名曲である。
しかし、クリス・コーネルにこの曲を捧げたわずか2ヶ月後の7月20日にChesterも後を追うように自ら命を絶ってしまった。
7月20日はクリス・コーネルの誕生日でもあった。
最後に
たとえバンドが活動休止になってしまったとしても、解散してしまったとしても、メンバーが生きてさえいればまた演奏を聴ける希望はある。
でも、亡くなってしまったら、それはもう絶対に叶わない。
しかも自らの手によって亡くなってしまうなんて、本当に、これほど悲しいことはない。
Chesterが抱えていた心の闇がどれほど深かったのか、部外者の僕には到底わかりようもない。
Chesterは自ら命を絶つという悲しい選択をしてしまったが、彼が偉大なアーティストであった事実は永遠に変わることはない。
数々の素晴らしい曲を、ありがとう。
これ以上自ら命を絶つという悲劇が繰り返されないことを切に願います。
どうか安らかに。
I hope no more light goes out.
Rest in peace.